Liner Notes

Rainbow Dream

figbash

 一寸先の未来は天気のように何が起こるかわかりません(たとえそれが超高性能の観測技術によって導き出された答えだったとしても)。

 私たちは、これから待ち受ける儚さや恐怖、はたまた幸運や奇跡に心を揺さぶられながら精一杯人生を全うしなければなりません。

 虹は願いや祈りの象徴とも言えます。

 頬を濡らす雨があがった後に訪れる数分の奇跡に、性格の違う僕らが平等に見ることができる1つの奇跡に、私たちは将来の夢を託したり、想いを込めたりします。

 無駄なことだと思う人もいるかもしれませんが、私はその行為そのものに意味があると思っています。

 未来を夢見るからこそ、今ある一瞬を大切に生きることができるからです。

Rainbow Dream

Shota Imai (Producer) 

 私たちは虹を示そう。夢の先へと昇っていくすべての階段を。

 過ぎ去っていく日々が集積した片隅には、私たちが望むすべてが隠されている。それは、目に見えるものではない。それは、形あるものではない。それは、決して辿り着くことはできない。

 七色の光は、文明と共に屈折し、情報の中で乱反射しながら通り過ぎる。次元を厭わず、摂理に反していても変わらぬ水平線を保ち続ける。闇が映す変幻自在の光は虚構だ。死の皮を被った立方体を飾る見せかけでしかない。虚偽は、すべてのものを過剰に魅せる。真実は、光と同様に目をくらます。私たちは、七色の光を観なければならない。不条理の中に現れる希望の光を。

 虚偽を剥ぎ取る。
 光が明瞭になる。
 虹は各色を開示する。

赤: 起源に思慮を巡らす。無機質な朗読に対する深甚な詩は現在地を問う。
橙: 空を切り裂く有機的な響は、焦燥と共に旅の行く末を示す。
黄: 空想と現実の狭間で足踏みする。不条理が顔を覗かせる。
緑: 暗雲は過ぎ去り光明が差す。光がなければ虹は見えないが、闇がなければ光はない。
青: 現実を憂い、虚無に塗られた情報から見えた虹が夢を描く。これは私たちの態度だ。
藍: 夢と現実は策励し合う。日常の中に夢や希望があるからこそ、世界は美しい。
紫: 人生は生きるに値する。その先へと私たちは進む。

 虹の果ては続いていた。
空の架け橋は橋ではなかった。
天命は終わりあるものではなかった。
どこまでも続いていくものではなく、どこまでも続くものだった。
屈折し、反射しながらも、終着点などなかった。
あらゆる現象が生まれては消え、この世界で廻り続けるように。

 私たちは虹だった。
私たちは私たちの道を行く。その歩みが、すべての没落となるように。
仰がなければ、決して虹の夢を見つけることはできない。

 これは、万人のための作品であり、だれのためのものでもない作品である。